(七)京都の学生

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「気になるな。君の部屋に戻ったら、パソコンの中も、一度見せてもらった方が良さそうだね。どうか、我々を助けると思って、ぜひ捜査に協力してもらいたい」 「そうだぞ。自分の潔白をはらしたいなら、逃げてちゃダメだ」 若手、捜査官の谷岡佑介が、尚人に肩組して、またそう口添えした。 その後、尚人は素直に従って、下宿先のマンションまでの道のりを、向井達と雑談しながら歩いた。 「あの乞食のじいさんに出会ったのも、この河原の上の方だったんです。大学を出て、散歩してただけなのに…今から思うと、なんでじいさんが、あんなバーコードリーダーを僕にくれたのか、もっと用心すべきだったのかもしれません」 「まぁ、何ごとも、ただほど怖い物はないっていうだろ」 歩きながら佑介が説教めいたことを言う。
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