(八)京都にある業界大手のゲーム機メーカー

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そういえば、大学に入ってからも、この企業が無料で配信していたネットの対戦ゲームで、僕は一度、全国一位になったことがあったんだっけ。 確か、僕の稼いだポイントは、そのゲームが掲載されていた間中、破られていなかったはず。 あの時は、いい気分だった。 尚人は、指定された日に、一着しかない紺色のスーツを着て、実際に面接を受けに、そのゲーム機メーカーの本社に出向いて行った。 郵送されて来た書類に記されていた午後二時よりも十分早くに、会社の門前に到着。 するとそこには守衛の他、もう一人、キレイな女性が立っていて、尚人が来るのを待っていた。 秘書さんかな?それとも人事部の人? こんなお姉さんと一緒の会社で働けるようになったなら、ほんと嬉しいけどな。 女性は尚人に会釈すると「桐生尚人さんですね。こちらへどうぞ」と言って、正面玄関とは異なる方向に尚人を案内した。 広い敷地内の中を歩いて行くと、やがて本社社屋とつながっていない別館が現われた。
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