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女性に案内されるがまま、中に入ると、入口には、高級そうな茶色いスーツを着た中年男性が立っていた。
尚人の横にい女性が、人事部の田所部長だと教えてくれた。
背が高くて、細身な体格に、シャープな顔立ち。
しかしメガネの奥の目は、人の内面をさぐるような感じ。
尚人は勝手にそんな印象を持って、早くも緊張し始めた。
「やあ、よく来たね。桐生尚人くんだね。待っていたよ」
尚人は、かたい表情で、ぎこちなく頭をさげた。
「今日は、どうぞよろしくお願いします」
「まぁ、そうかたくならずに。今日の体調はどうかね。まったく問題ないかね」
尚人は、いきなり妙なことをきくなと、少し不審に思いながら、
「あっはい。それは大丈夫ですが」と一言。
すると、人事部の田所部長はこう続けた。
「当社では、健康も最重要視される点だから、君は何も疑わず、まずあちらで、自身の尿を取ってもらいたい」
えっ、まさかの、おしっこ検査。
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