(八)京都にある業界大手のゲーム機メーカー

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尚人は言葉に出しはしなかったものの、日頃のだらしない生活を振り返り、なんか悪い物が出たらどうしようと、早くも不安になった。 「おや、どうしたのかね?どこも病んでないのなら、心配ないだろ」 「あっ、はい、それはそうですが」 「では桐生様こちらへどうぞ」 横にいた女性に連れられて、ホールの左端にあった清潔感漂うトイレの前まで行くと、彼女は尚人にプラスチック製の透明なコップを差し出した。 「これをお持ち下さい」 「はい、でもマジで、尿検査するのですか」 「はい、マジです。これをしないと就職試験そのものを受けることが出来ません」 きれいな顔をして、平然と彼女がそう言う。 「終わりましたら、トイレの中の窓辺の棚に、尿の入ったコップをのせて置いて下さい」 「えっあ、はい、看護婦さん」 尚人は恥ずかしさのあまり、冗談を言いつつ、ともあれ仕方なくトイレに入った。  
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