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どこからともなく子供の声で「ドロボー」という言葉が発せられた。
あわてて辺りをきょろきょろ見渡すと、マネキンの子供が出て来て…
「僕のだ。返して」と怒ったような口調でしゃべりかけてきた。
ここで再び問題形式のアナウンスが聞こえてきて、
「さて問題が発生しました」
「あなたが追いかけようとしている小舟には、自転車で行けば追いつけますが、この子を説得しなければなりません。あなたならどうしますか?」
「ええ、そんなぁ。僕、子供苦手なのに…どうしよう」
ああ、もう急がないと。僕の人生がかかっている就職試験なのに。どうにかせねば。
「えっと、あの、ぼうや。お兄さん、今とっても困ってるんだ。それで、この自転車貸してもられると助かるんだけど、お兄さん、必ず返す…」
しかし尚人はそういいかけて一瞬考えた。
ここで返すと言って、その後、返すことが出来なかった場合、軽々しくウソをついたことになる。
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