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これもきっと社員を選ぶ時の判断材料になるに違いない?
そこで彼は、しばらく言葉に悩んだ末こう言った。
「そうだ。この自転車を僕が漕いであげるから、後ろに乗ってよ」
「え、ほんとに。乗せてくれるの」
マネキンとはいえ、リアルな受け答え。
「ああ、お兄さんが漕いで上げる。どうだい。それなら、しばらく貸してくれるかい」
マネキンの子供は、少し考えているようで、数秒間、音声は聞こえてこなかった。
尚人は焦っていたが、相手は子供だと自分にいい聞かせて、誠実に待った。
するとようやく「それならいいよ」と、子供の声で明るく返事が返ってきた。
「良かった。ありがとう。じゃあ、先に君を後ろにつんでと」
尚人は、子供マネキンを優しくだっこして、自転車の後ろに乗せ、その後、前のシートに自分もまたがった。
子供マネキンが落ちないように優しく漕いでと…
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