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真直ぐに延びた川岸の道には、ニセモノの造花や草がはえていたが、それらはしょせん室内に造られたまがい物でしかなく。
この点、わずかな凹凸も感じず、自転車はスムーズに進んだ。
そこで尚人は、押さえていたマネキンの子供から左手を放すと、両手でサドルをしっかり持って、フルスピードで自転車を飛ばした。
最初、その子供マネキンは、実に軽かった。
ところが次の橋の下を自転車が通過する時点で、後ろの席で何かが動いたような気がして、その後、急にとても重くなって来た。
「なんだこれ。やたら重くなったぞ」
久々に後ろを見ると、なんと驚いたことに、そこにはマネキンの子供ではなく、マツミデラックスのようなオネエが乗っていた。
「ウソーいつの間におかまに変わったの?」
「ほらっ、さっさと漕ぎなさいよ。あたしのことなんか気にしてたら、自転車がフラフラするでしょうが」
マツミデラックスそっくりなおねえは、尚人のあちこちを触って来る。
「やめろ、やめろ」
自転車はグラグラふらつき。土手を迷走。
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