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「だけど、そんなことして、あたしになんの得があんのよ」
確かに…
尚人は言葉につまったが、その後、取り繕うかのようにこう続けた。
「もちろん、あなたにはなんの得もないでしょうが、でも…えっと。その」
「あんた、さっきから、何ウジウジしてんのさ。男でしょうが」
「ハッハイ」
これも絶対にテストだ。
僕はこんなヤツに頭をさげたくないが、もうなんでもするぞ。
今までのプライドをすべて脱ぎすてて、尚人はその場で突然、土下座した。
自分より偏差値の低い人間に頭をさげる。
これまで上べでしか出来なかったことが、気持ちを込めて真剣に出来た。
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