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そうだ。川に落としたんだから封筒のどこかが濡れてないか。
いや、すでに乾いていたとしても、一度濡れた封筒って、何か違うはず。
すると〆の文字が、印されている二枚の封筒のうち一枚が、少し膨張している。
じっくり触ってみると、ブヨブヨした不自然な感触がして、墨で書かれた「〆」の文字も幾分にじんでいる。
これだ。きっとこれに違いな。尚人はその封筒を掴んだ。
「あんた、それで間違いないのね」
マツミデラックスが、満面の笑顔で、尚人の頭にまたキッス。
「ありがとうございます」
「おお、ぼうず。大切な封筒が、見つかって良かったな」
じいさん達からもそんな言葉が口々に上った。
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