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と、ここでまたアナウンスが聞こえて来て…
「さて、桐生尚人さん。あなたは時間内に、よくここまで到達されましたね。では最後の難関の崖です。どうぞその崖を登って下さい」
「そうしないことには、追っ手にまもなく追いつかれます。あなたが追っ手から逃れるためには崖を登って向こう側へ行くしか有りません」
「えっ追っ手だって、なんだそれ」
尚人がそう思って、一度後ろを振り返ると誰もいない。
そこで再び正面の崖の方を仰ぎ見ると、上にいる巨大な蜘蛛が尻の方を向けて、縄に近い太さの銀色の糸をたらしかけていた。
やがてその糸が、尚人の足下に到達した頃
「待て~このクソ坊主。その茶封筒を返せ~」
という大勢の男達の怒声が聞こえてきた。
「何、どういうことだ」
そこで再度、尚人が振り返ってみると、さっき笑顔で別れたはずのじいさん達が、一団となって走って来る。
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