(八)京都にある業界大手のゲーム機メーカー

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「ぼうず。その茶封筒の中身を見せろ。俺達の袋には白紙の紙しか入ってなかったぞ」 えっ、アイツら、じいさんのくせに、なんて欲張りなんだ。 それにあのマツミデラックス、あたしがなんとかしてあげるとか言ってたくせに、やっぱりしょせんゲームの中だな。 まったくどいつもこいつも当てにならない。クソッ。   尚人は、ともかく崖を登るしかないと思って、口に封筒をくわえ、蜘蛛が出している銀色の糸を手にして、ただちに登り出した。 でもこれって、まるで芥川龍之介の蜘蛛の糸みたいじゃないか。 いや僕は、あの小説の主人公みたいに、罪人じゃないぞ。 後ろから追いかけて来るじいさん達は、以外と足が達者で、じきに崖の下まで辿り着いた。 そして早い者順に、ものすごい勢いで、同じく蜘蛛の糸を登り出した。 ヒェーッ。なんでこうなるんだよ。
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