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尚人の足には、また次の刺客の手が延びて来る。
尚人は、掴まれないよう足をバタバタ動かした。
じいさん達の手が近づいて来ると、蹴る真似をして、すかさず足をひっこめる。
先へ先へ。
そしてようやく崖の上に手が届いた。
尚人は両手をついて、踏ん張り上がると、転げるように上に登り切った。
けれど、勝利の気分も束の間。
蜘蛛の糸を辿って、先頭のじいさんが崖の上に早くも手をかけた。
尚人は大切な茶封筒を床に置いて、じいさんの手を叩いたり払い飛ばしたりして、必死で食い止めようとした。
でも次から次へと下から登って来る別のじいさん達の手が伸びて来て、
あ~もう、らちがあかない。どうしたものか。
そこで尚人は、とっさに蜘蛛の尻に手をやり、銀色の縄のように太い糸を無理矢理引っぱり出した。
案の定、蜘蛛の糸は、幾らでも長くなって、じいさん達は下へ下へ。
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