(八)京都にある業界大手のゲーム機メーカー

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と、そこはがらんとしたホールになっていて、真ん中には窓のないプレハブ小屋が建っている。 この時どこからともなく、またアナウンスが響いてきて… 「おめでとうございます。とうとうここまで辿り着かれましたね。大切な書類は、お忘れではありませんか?」 尚人はそう聞かれて、床に放置していた茶封筒を、改めて手に取ると、ギュッと握りしめた。 「見事にあなたは、五十九分、二十六秒三四で無事ゲームをクリアされました」 五十九分て、ギリギリじゃないか。 良かった。どうにか間に合って。 なんだか訳の分からない試験だったが取りあえず、でかしたぞ尚人。 自分で自分をほめてやりたい。そう思っていた。
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