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尚人は、女性にそう言われて、大喜びしたいところだったが、疲れ切っていたので、微笑むのがやっとだった。
もらったばかりのジュースを飲み出すと、ふいに涙が溢れてきた。
クソッ柄にもなく、涙が出てきやがったぜ。
恥ずかしいってばよ。
尚人はうつむき加減に黙ってジュースを飲み続けた。
それから数分間、沈黙が続いて…
ようやく彼が落ち着きを取り戻すと、女性はこう言った。
「あの、桐生様。採用に関しましてですが、のちほどこちらから連絡致しますので、今日は一まずご帰宅下さい」
「…?」…ぼんやり。
「その際、お手元にある茶封筒は、必ずお持ち帰り下さいね。中に大切な書類が入っていますので、帰宅されてから、じっくり目を通しておいて下さい」
「あ、はい」
「では、もう歩けますか」
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