(九)回想から、現実へ。

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東京から来た警視庁の向井達と、肩を並べて歩きながら、尚人は、自分の就職先について聞かれないかと、そのことがじょじょに心配になっていた。 出来れば、今後お世話になるゲーム機メーカーの名前はいいたくない。彼はそんなことを考えていた。 あの変わった採用試験の後、僕は最近、入社の意思を伝えたばかりなのに、これで採用を取り消されでもしたら、警察は何か保証をしてくれるのだろうか。 いいや、きっと自分の手柄だけにしか、コイツらは興味がないに決まっている。 京都府警のデカよりかは、親切そうに見えるこの二人だって、事件と関係ないことで僕が頼っても、助けてくれるはずがない。  向井達とマンションに帰える道すがら、尚人はいろんなことを頭に巡らせていた。 やがて自分の下宿している三階建ての学生マンションが見えて来た。 向井と新米捜査官の佑介は、尚人が「どうぞ」と言う前に、靴を脱いで「お邪魔するよ」と部屋の中に入って行った。
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