(九)回想から、現実へ。

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尚人は返事をしながら、自分のメールアドレスにアクセスして、受信ボックスを開けてみた。 ところがどういう訳だか、受信ボックスの中のデーターはすべて消去されていた。 表示されているのは、ウィルス対策が必要と言う注意事項や、その類いのソフトを売るメーカーからの警告を呼びかける広告メールだけ。 「どうして。どうしてなんだ」 気が動転している尚人のそばで、向井も真剣に考えた。 「これはたぶん。ある一定時間が過ぎると、自動的に消去されるメールで、しかもウィルスを残す形のものだったのかもしれない。 それにしても、誰だか知らないが、用意周到だな。まるで我々が来ることを最初から見計らっていたかのような」 「いいえ、もしかすると、これは、一度ゲームを誰かがやってみたら、その後、何分かでウィルスが発生して、パソコンが感染する仕組だったのかも?」 尚人がそう言うと、向井もうなずいて「その方が説明がつくね」とつぶやいた。
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