(九)回想から、現実へ。

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「桐生くんには、悪いんだけど、このパソコン押収させてもらってもいいかな。犯人は、用心深そうだから、まぁ恐らく手がかりはつかめないと思うんだが、取りあえず記録が残ってないか調べたいんだ」 「えっでも卒業論文の準備もあるし、僕、パソコンないと困ります」 「ああ、卒業論文ね。そりゃ今の時代、パソコンがないと困るたろうものね。分かったよ。ではこれと同じ物を、京都府警に頼んで用意させるから。なんなら、君の良く知っている電気店の名前を聞いておこうか。あるいは今、この場で、同じのをネット注文してくれたって構わんよ」 こいつら、どんだけ厚かましいヤツらだ。 尚人は、自分のパソコンが押収される事態となって、不安が極度に達し、大声で叫び出しそうだった。 「もちろん、君の個人情報や、見られたくないものは、USBメモリにでも保存してもらって、後はすべて消去してもらって構わんからね」
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