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「まぁ、落ち着いて。君が東都大学の学生達と同じく、加害者に利用されたのは、調べがついているんだ。だからそのことを、とやかく言いに来た訳ではなくてね。実は、よく似た事件が、数年前からちょくちょく起きていてね」
「そうなんですか?」
「ああ、共通点は、ゲームを介して、組織や団体に悪性ウィルスを侵入させる手口と、海外のサーバーを通して、最後、加害者が学生である点。それと権力を持つ個人もしくは団体がターゲットである点。この三点でね。そして何より、君だけが、乞食という人を介してゲームのアドレスを入手している。その点が、私にはどうしてもふに落ちなかったから、それを確かめに、今日はここまで来たんだよ」
向井は探るような目つきで、尚人を見つめた。
尚人は目をそらして、視線を床に落とした。
知らないものは、知らないんだよ。まったく、どうして刑事ってヤツはこんなにしつこいんだ。早く東京に帰れ。
「いいかね。絶対に、隠し事をしちゃダメだよ。ウソはすぐにバレるからね」
向井は尚人にそう釘を刺してから、こう続けた。
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