(十)爆狼怪人からのメッセージ

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東都大学で犠牲になった若者達は、ゲームが得意な面々でも、ハッキングの常習犯でもなく、やはり無作為に選ばれて加害者にされた学生達のようだった。 向井が推理したように、彼らの携帯のメールアドレスが、どこで漏れたか探って行くと、 大学のそばの居酒屋や、校内で配られているサークルの名簿などから簡単に入手出来たので、無防備な学生達ばかりが選ばれたのだと分かった。 病院に入院していた国会議員達も、体調を回復させて、それぞれまた活動し始めたが、 議員の数の大幅削減や、国会議員そのものの無用論は、まったくやむことがなく、過熱する一方だった。 「犯人は、世論。特に若者の意識操作。最初からこれが狙いだったに違いない。小さな革命家にでもなったつもりか。クソッ」 向井は、世間の人々、取り分け若者達が中心になって、犯人を英雄視する声が高まる中、必ずこのウィルスを広めた張本人を捕まえてやると、心に誓っていた。
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