(十)爆狼怪人からのメッセージ

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ネットの中では、ヤツのことを 「暴露怪人」とあだ名を付けて、もてはやす者までいて、なぜか人気者になっている。 「おい、今朝の新聞見たか。警視庁でも、ヤツのことを、暴露怪人って呼ぶようになったらしいぜ。なんか若者達にミスリードされてんな」 同じ学生マンションの隣人である藤野さんが、朝刊を持って現われた。 そもそも藤野さんがうちにちょくちょく来るようなったのは、彼のパソコンが、故障しているため、僕に借りに来ていたのが理由だったが… すでに彼のパソコンは修理済みだった。 でもあの事件(彼がゲームをしながら、僕の部屋で意識をなくしていた日)から、僕らは妙に親しくなっていた。 尚人は、自分を災難に陥れた張本人がいまだこの暴露怪人だったかどうか、確信が持てずにいた。 ただ興味がないといえば、ウソになる。 なぜなら、ここ最近のネットなどでのヤツの人気ぶりや、ヤツに利用された僕ら学生達を擁護する言葉に、少々喜びを覚えていたからだ。
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