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藤野さんにそう聞かれて、僕は首をかしげた。
「さぁ、僕にはなんともいえないけど…でもここ最近は、妙に静かだし、大騒ぎになり過ぎたから、アイツ、雲隠れしたんじゃないのかな」
「そうだな。ひょっとしたら、もう永久に出て来ないかもしれないしな」
藤野さんがそういうのを聞きながら、いや…でも、必ずまたいつか、ヤツは現れるに違いないと、僕は確信めいたものを感じていた。
なぜなら、ヤツがこんな大それたことをしたからと言って、社会の動きは、そう簡単に変わる訳もなく、
若者達の意見がクローズアップされたからと言って、相変わらず就職難と少子高齢化は進む一方だったからだ。
そして、この社会では、さまざまな種類の犯罪が、今日も国内、国外、あちこちで起きていて…
ネットもテレビも新聞も、一つの事件ばかりを、いつまでもニュースに取り上げる訳にもいかず。
そのうち暴露怪人の噂は少しずつ沈静化していった。
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