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もちろんヤツのファンは、そのまま健在だったが、注目度が減った分、世間からは忘れ去られようとしていた。
僕もそう。
悪夢から解放されて、風のように過ぎ去ったあの数ヶ月のことを、決して振り返らないと決めていた。
そりゃあ一時期は、就職のことや、巻き込まれた事件のことで、深い谷底に落とされたような気分だったが、今は季節同様、身も心も清々しかった。
だが…
卒業式を目前に控えた早春のある日、久々に僕は、ヤツのことを思い出す事態に遭遇する。
携帯のディスプレイに、知らないアドレスの表示。
届いたメールは…なんとなく、一人で見るのが怖い。
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