(十)爆狼怪人からのメッセージ

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この時、僕は一瞬、東京から来た向井と言う捜査官の名刺があることを思い出していた。 受信メールを見る前に、向井さんに相談しようか、そう思っていると、 藤野さんが強引に僕の手から携帯をひったくって、受信ボックス全体を出し、一番上の発信元不明のメールを選択して、自分のスマホに転送した。 「お前、就職先決まってるし、もう警察ざたはこりごりだろ。俺はその点、当分大学にいる身だからな」 「藤野さん…」 「それにこの頃じゃや、親の家業を次いでもいいかなって思ってきているしな。うち言ってなかったっけ。福岡で不動産業営んでて、アパートとか貸してるんだ。つまり、お前よりか身分的にラッキーな人種って訳だからな」 「うるさい。どうせ。僕はしがないリーマンの息子だよ。フン」 「まぁ、そううらやむなって。とにかく俺ので見ようぜ。その方が安心だろ」 「ああ、藤野さんが、今日いてくれて良かったよ。ホントあんがとね。やっぱり、自分自身、確認の意味でも、見てみたい気がするものね」 「だろっ、怖いもの見たさってヤツさ?」
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