(十一)東京での再会

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ちょうどこの時、誰か手が延びて来て、あの乞食のじいさんの頭を無理矢理わし掴みにして、川の水に顔をつけている。 そんなことしたら死んでしまう。 「かわいそうだろ。やめないか」 僕はそんな恐ろしい夢にうなされて、ハッと目を覚ました。 「夢だったのか?」 窓の外が明るい。今何時頃だろう。 時計を見ると、午前十時過ぎだった。 ゲッ、もうこんな時間か。 いつまでもこんな生活してたらダメだろ、尚人。 来月早々、就職先の研修があるのに、早起きを身につけないと。 大きなあくびを何度もしながら、なんだかもやもやして落ち着かない。 原因はなんだっけ?…と考えていると、携帯電話の着信音が鳴り響いた。 ドキッとしたものの、
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