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幸い電話という手段には、これまで怪しい連絡が入ることはなかったので、番号も変更しておらず、この時も安心してすぐに出た。
ディスプレイの表示を見て、両親や友人、就職先の人事関係の人でもないことを確認。
とにかく登録していない相手からの電話だった。
「もしもし」
「あっ、桐生尚人くんだね」
どこかで聞いたような…
記憶に残る声が、受話器の向こうから聞こえてきた。
「はい、桐生ですが、あなたは…」
「覚えているかな。私は警視庁サイバー犯罪対策特別班の向井だが…」
この時、僕は昨日から続くもやもやの原因が、ようやくなんであったか思い出した。
「おっおぼえています。あの~その節はお世話になりました」
「どうやら早起きは、まだ苦手な様子だね」
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