(二)ミッション1

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古都の南部に開発された学術都市の中で、一番広い敷地面積を有し、何百億と税金が投入されて造られた施設だ。 そう。まさに税金のムダ使い代表というべき代物。 「確かあれは、初期の頃から、内容がつまらないという噂がたっていたな」 閉館する直前は、団体客以外ほとんど入館しておらず、またリピーターも増えなかったため、常に休日でも閑古鳥が鳴いていた。 そして当初から赤字経営だったものの、地方銀行の都銀行をはじめ、地域の幾つかの銀行が、広大な土地や国の保証を信用して、資金を貸し出していた。 ところが三年前、経営破綻した後の土地の売却などが、未だに進んでおらず。 各銀行は、返済してもらえなかった貸付金を税金で補てんしてもらっていたのだが… 「要するに、都銀行は、この不良債権処理が、問題なく進んでいたにも関わらず、それを隠蔽して、補てん額を国に水増し請求していたんだな」
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