(一)乞食がくれたバーコードリーダー

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この二勝は、大学一年の頃からバイトしていた塾の個別講師の仕事、つまり契約社員のお誘いと、 田舎の親が頼み込んで得られた、嫌みな市会議員のおやじの秘書の口だった。 前者は、中堅どころの塾で、いつ首を切られるか分からない契約内容だったし、 後者は、もしあのおやじの秘書になれば、この先一生田舎で、望んでもいない仕事に就くはめになる。 ええい、そんなのイヤだ。 どうしよう。どうにかして阻止せねば。 そんなことを、このところ毎日、思い悩んでいる有り様。 国立大の中でも日本で一、二を争う偏差値の大学に入った途端、 田舎の親や親戚からは誉められまくり、近所の人からは、羨望の眼差しで見られた。
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