No.1暴露怪人

（四）現実と酷似

また指摘された都銀行の不正に関しても、過去に遡り、調査し出したと書かれていた。

もしこの不正が何年も前から行われていた事実なら、僕は事件が公表される前より先に、あのゲームで知っていたことになる。

っていうか、そもそもあれをくれた乞食も、このゲームを世に出した誰かも、先に都銀行の不正事件を知っていたことになる。

妙じゃないか。

その後、ぼんやりと僕は三面記事の下の欄まで目を通していたが、

もう一つ別の事件について書かれている内容を読んで、急に悪寒が走って、怖くてたまらなくなった。

それはあのゲームに登場した事務機器メーカーのおばさんOLとそっくりな女性が、警察で参考人として事情聴取を受けているという内容の記事だった。

経理部に長年勤務していた田沼恵子係長は、五年に渡りパソコン内の経理上のデータを操作して、
およそ一千万円以上もの着服をしていた疑い。現在、単独犯かどうか捜査中。