(四)現実と酷似

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事件の発覚は、あるウィルスによって、府警の本部にある特捜班のパソコンに、まるで内部からのたれ込みのような形で、データが送信されて来たという。 えっ、また外部ウィルス…!? そっそんな、どういうことだ?偶然にしては重なりすぎだろう。   僕は新聞を手にしたまま、ひどく困惑した。 たまたま河原で見かけた乞食からもらったゲームで、僕が擬似就職してあばいた不正が、すべて現実に露呈している。 あのゲームをすることによって、僕自身があばいた不正が現実に公開されているのでは… そんなバカなことって、あり得ないだろ。でも… 僕は、就職という大きな岐路に立っているこの時期に、なぜこれほど妙なことが重なって起きてしまったのかと思い、乞食に五百円恵んだことをひどく後悔した。
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