No.1暴露怪人

（五）点をつなぐ、捜査開始

サイバー班の捜査官達は、学生から押収したスマートフォンなどを調査した。

またその件を追跡して行くうちに、他府県にもよく似た事件が起こってっいたので、その一つ一つを足がかりに、ウィルスの出どこを捜査し始めたところだった。

むろん、各地で起きているバラバラの事件は、一件一件関わりがないように見えていた。

だが、幾つかの共通点があったので、この点で、たとえ捜査が終結している案件でも、再捜査の対象となったのだ。

全国各地の大企業や官公庁並びに名門大学、または医療機関など、さまざまな組織のパソコンに悪性ウィルスが侵入し、隠蔽されていた不正の情報が漏洩するという事件。

ごく最近では、クィーン製紙という四国にある製紙業会ナンバーワンの企業のおぼっちゃまによる億単位の巨額な着服金についての暴露事件も、実にそれだった。

内部からの告発のように見せかけて、調査してみると、実は外部ウィルスが侵入して明るみになった事件と判明していたのだ。