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ところが地元では、業界最大手の企業のおぼっちゃまが起こしたスキャンダラスな話ばかりが話題となって、ウィルスのことなど誰も興味を持っていなかった。
地元では、雇用の場がなく、その大手製紙会社への就職は、望んでもなかなか得られない希少枠だった。
しかしその事件によって、雇用の場が増えたという噂でなぜか持ち切りだった。
つまり隠蔽に関わった上層部が、逮捕うんぬんに関わらず、いっせいに辞職して、
その結果、常務以下の役職が昇級し、さらに人事移動が行われたので、席がたくさん空いたという単純な発想からくるものだった。
地元では、この件で捜査に着手していた県警並びに、たれ込み元を英雄視する声まで上がっていた。
そして似たような暴露ウィルスの事件が、警視庁管内の三ツ星重工だけでなく、他府県の企業団体にも、ここ数年に渡り起こっていたのだ。
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