(一)乞食がくれたバーコードリーダー

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男のようすを見ていると、ボロ机の上に募金箱のような物が置いてあった。 そこでよせばいいのに、柄にもなく、僕は昼めし代の五百円玉を寄付した。 硬貨を箱に入れて、そのまま歩き出そうとしかけた時… 「あっちょっと、そこの若者よ。待ちなされ」 と、乞食のじいさんが声をかけてきた。 僕は関わるのがイヤだったので「ヤバッ」と思わず口走り、そのまま気づかぬ振りをして、通り過ぎようとした。 すると… 「まぁ、待ちなされ! そこのお若いの。お主の顔には、隠蔽された悪を見通す、千里眼の相が見える」 今から思えばなんとも怪しいことを言われたのだが、この時の僕は、思わず振り返った。
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