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男のようすを見ていると、ボロ机の上に募金箱のような物が置いてあった。
そこでよせばいいのに、柄にもなく、僕は昼めし代の五百円玉を寄付した。
硬貨を箱に入れて、そのまま歩き出そうとしかけた時…
「あっちょっと、そこの若者よ。待ちなされ」
と、乞食のじいさんが声をかけてきた。
僕は関わるのがイヤだったので「ヤバッ」と思わず口走り、そのまま気づかぬ振りをして、通り過ぎようとした。
すると…
「まぁ、待ちなされ!
そこのお若いの。お主の顔には、隠蔽された悪を見通す、千里眼の相が見える」
今から思えばなんとも怪しいことを言われたのだが、この時の僕は、思わず振り返った。
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