(五)点をつなぐ、捜査開始

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「お前、大丈夫か」 「ああ、俺のことはいいからさ。なんだかヘビに噛まれた左手が、妙に熱くて、重たくなって来たけど、噛み痕もないし、 やっぱしょせんゲームの中の出来事って感じでしょ。それよか命の恩人のプレイヤーに挨拶しろ」 左手を押さえたままで英太が言う。 そこで健吾は、スマホを手にして、さっそく「ありがとう」と打って、自己紹介してみた。 「オレ、ケンゴ。法学部」 「僕、医学部一回生のタケル」 「げっ、医学部のヤツに助けられた。これって偏差値の差か。クソッ、ゲームも医学部の連中に負けんのか」 竜二が悔しげにつぶやく。そんな外野の声を知らないタケルなる医学部生は、とても優しい青年のようだった。 「君さっき、ヘビに噛まれただろ。大丈夫だった」
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