(六)線がぼやける。捜査混乱

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この議員達への傷害事件ともいうべき犯行が、実に東都大学のゲーム好きな学生達に無料で提供されたゲームから発生しているなどと、当初は誰も気づいていなかった。 同時期に首都東京で起こった二つの事件。 しかしこの混乱の中、警視庁の一人の捜査官、向井だけは冷静迅速に調査し始めていた。 なぜならこの二つの事件が、自分の追っていた、地方の暴露ウィルスに酷似していたからだ。 二つの事件は、これまでの地方で起きていたバラバラの事件と、ある共通項でつながっていると思われた。 それは、権力を持つ存在が標的である点と、加害者に利用されたのが学生である点。 そして無料ゲームが間に存在している点だった。 むろん後者の二点は、まだ向井の推測を出しえないものだったが、彼は確信していた。
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