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「死ねええええええええ!」
やばいっ!
男のアースジェットが噴射された刹那、冷蔵庫の下の隙間が視界に入った。
あそこだっ!
だが、男の放った猛毒ガスが俺に襲い掛かる。こうなってはもう最後の手段を使うしかない。そう思った俺は、咄嗟に男の顔めがけて羽根を広げた。
「うわっ!」
驚いた男がしりもちをつく。その一瞬の隙をついて、脱兎のごとくセーフティエリアへ。
ふう……危なかった……危うくご臨終するところだったぜ。
冷蔵庫の下は生暖かく、俺たちにとってはとても住みやすい。しかも人間の目が届かないとなっちゃ、極楽も同然だ。だが人間も馬鹿じゃない。俺たちに住みそうなところにはすでに餌が撒いてあるのだ。もちろん毒てんこ盛りだがな。
「ち、ちくしょう……舐めやがって!」
男が立ち上がるのが隙間から見えた。しかし、このゾーンに入っては手を出せまい。毒の餌もすでに数人の仲間が犠牲となって、跡形もなく消し去ってくれている。ああ、仲間たちよ。俺はお前たちの犠牲の上に成り立っているのか。冥福を祈るぞ、友よ。
「冷蔵庫の下に逃げ込んだか。へっへっへ……だが、文明の利器をなめちゃいけねえ」
男がなにやらぼやいているが、もう何をしても俺たちには届かない。ご自慢の文明の利器とやらも秘技「顔面飛び」の前には消しカスも同然だったしな。この勝負……俺の勝ちだ!
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