PROLOGUE

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「あれ、リズは?」  全員が黒のスーツに黒のネクタイ姿。  とある会社で一番若いジェイが、一人足りない事に首を傾げる。 「長期休暇に入ったよ。日本に帰省するんだってさ」  装備を確認しながら答えたのはマイク。 「日本? あ、そっか。リズってジャパニーズだっけ」 「日本人だって時々忘れちまうよな。あのナリであの仕事ぶりだし」  本人が居ないのをいい事に、悪態をついたのはアルバートだ。 「でもさぁ、何で日本に帰っちゃったのかな? いつもなら自宅でトレーニングしてるのに」  ジェイもマイクに倣い、装備を確認しながら疑問を口にする。 「カフェをオープンしたらしい愛しの君に、逢いに行くんだって」 「カフェ?」 「愛しの君?」  リズという人物のルームメイトであるマイクは事情を知らされているらしく、きょとんとしている二人を見て微笑む。  数秒の沈黙を破ったのは、会社の事務担当の金髪美女。 「マイク、ジェイ、アルバート、準備が出来たんなら早くして頂戴。お客様がお待ちよ」  言われ、三人は身嗜みを整える。  それと同時に、意識も仕事モードへと切り換えられた。 「へいへい」 「リズが居ない間、信用失わないようにがんばらないとね」 「行こうか」  三人は揃って控室を出た。
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