嘘つきの始まり

4/6
前へ
/6ページ
次へ
 シースは古代からある公爵の書庫を占拠した。 それは王からの命令だった。 「お主の身体は醜い。ならばそれを美しくする術を教えよう。ただし、私の要望を聞いたらな」  僕はすかさず、はいといった。 しかし、それが大きな間違いだった。  公爵の書庫には、もちろんだけど沢山の書物があった。それは触れてはいけない書物であり、ドラゴンに知られてはいけない書物だった。 「結晶の秘術」  凍らせるのではなく、結晶化させる。すると相手は永遠の呪縛によって守られる。  僕はその秘術を、自分に使ってしまった。 もう誰にも馬鹿にされないように、もう穢らわしいといわれないようにするためと……  だけどそれが引き金だった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加