絡まり捨てた赤い糸

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すりすりと籐堂院さんの手に顔を擦り寄せながらマスターはじっと籐堂院さんを見つめて口を開く。 「龍ちゃんの手はぁ~おやじくさいんじゃないの。優しさみたいなものを与えてくれるし、ふわふわって気分にしてくれる…なんて言えばいいかなぁ、わかんないけど俺をいつだって幸せにしてくれる手なの。わかった?」 ん?と珍しく首を傾げて温かい笑みを浮かべるマスター。 …ああ、今日のマスターは機嫌がいいなぁなんて。 思ってふとマスターから籐堂院さんに目を向ければ、顔を真っ赤に染めて目を見開いて口をパクパクとさせた籐堂院さんの姿がそこにあった。 「う、ぉ…あ……」 「ん?なぁに龍ちゃんそんなに真っ赤になっちゃってェ…なに、まさか自分の手が褒められて恥ずかしくなっちゃった?」 そんな籐堂院さんにさらに機嫌をよくしたのかマスターは微笑みをさらに濃くし、段々とそれは妖艶な笑みへと変わっていく。 おまけに籐堂院さんを追い詰めるように語りかけながら頬に擦り寄せていた手を自分の首筋へと導いて、若干開いたシャツの中に誘おうとしているし……。 ガタッ 「お、おお俺はッ!きゅ、急用を思い出した!!帰る!!」  
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