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ZERO、ピクシーSide
任務から無事帰還し、イーグルのキャノピーを開ける
いっきに外の冷たい空気が入り込みブルりと身震いをしながらヘルメットと酸素マスクを取り外し新鮮な空気を吸い込む
冷たい空気が肺一杯に入りそのまま息を吐くとそれが白くなり上がっていく。今日も寒いな…
「…っ寒」
身震いをしながらコートを羽織り、梯を使って愛機から下りる。整備士が「お疲れ様です」と言ってきたから軽く頷き応える
そしてふと横を見ると俺の相棒、サイファーが今だにコックピットに入ったまま縮こまっているのが見えた。サイファーはとてつもなく寒がりだ。その姿に苦笑していると後ろから肩を叩かれそちらを向くと一人の女性が立っていた
「お疲れ様です、ラリーさん」
「…お、ぅ?」
挨拶と共にズイッと綺麗にラッピングされた物を見て不思議に思う。今日は俺の誕生日でもないのに…何だこれは…?
暫く考えて今日の日付が2月14日と思いだし、差し出された物の理由がわかった。そうか、今日はバレンタインだったか
ありがとうと言いながら受け取ると女性はペこりと頭を下げて行ってしまった
貰った物を見ながら今朝のPJの様子を思い出し、やけに機嫌がいいから何かあったのかと不思議に思っていたがこういう事だったのか。納得だ
貰った物をポケットにしまうと名前を呼ばれ再びそちらを向くとサイファーが俺を不思議そうに見ていた
「ピクシー、何突っ立ってんだよ。行くぞ」
「あぁ、すまん」
ブルブルと震え寒そうにしているサイファーの元へ駆け足で向かう
「食うか?」
サイファーがさっと目の前に差し出してきたのは飴だった。サイファーはよく出撃前や帰ってきた後、集中するときなどに食べている
「ん、ありがとう」
受け取り口に入れると甘いいちごの味が口全体に広がった。いちご味とは…可愛いなと思いながらこのままデブリーフィングを受けて部屋に戻った
部屋に戻るとサイファーはそそくさと冷蔵庫を開け何かを取り出していた
「何やってんだ?」
「ん…」
不思議に思い質問すると袋を俺に差し出してきた。俺が袋を見て頭に"?"を浮かべるとサイファーは中身を取り出しニヤッと笑って
「皆に配る」
と言ってきた。中身は小さくケーキのような物だった
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