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「生きていくことに絶望しただけなんだ。」
そんな言葉が頭を何度も横切る。まるで呪いをかけられたかのように何度も何度も…。
思い返してみると自分の人生って何だったのだろうと思う。
学生としてはいたって普通の成績で、自慢できる特技もない。高校も大学も自分の学力で入れるところを無難に選び入学しただけだ。
就職に関してはあまり深く考えなかった。考える気になれなかったと言うべきか…。そのうちに仕事なんか見つかると思っていたし、まぁそもそもこの不況の中、頑張っても仕事なんかなかなか見つからない。そして今は実家に住みながらとりあえずフリーターという状態だ。
「なんて惨めな人生なんだ。」
そんなことを夜景の素晴らしいこの場所で考えている。街の光が嫌になるくらい眩しい。
「生きていくことに絶望しただけなんだ。」
所詮人間に限らず、「生」あるものには「死」がある。これは絶対だ。
永遠なんかない。では何のために生きるのだ。その答えを何年捜し求めてきただろうか。
結局自分で辿り着いた答えは「生きることに意味はない」ということだ。なぜなら、いずれ必ず死ぬのだから…。
「生きることに絶望しただけなんだ。」
さて、新しい一歩を踏み出そう。夜景が素晴らしいこの場合で…。
僕は立ち上がり、新しい一歩を踏み出した。
その一歩は地面に触れることはなく、自分の身体は前へ、そして下へと落ちようとする。
あの眩しい夜景から、遥か下の道へと一瞬にして景色が変わる。
そして地面がだんだんと近づき…
ぐちゃっ……
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