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「うわあああああ!」
思わず叫び、踵を返す。
――折れていたのだ。
少女の首が、直角に折れ曲がっていたのだ。
それはまるで、幼い頃にいたずらで踏み荒らした百合畑に残された光景に似る。
美しく咲き誇っていた花の、あまりに呆気ない死の瞬間。
このまま朽ち果てるばかりを待つ、悲しい花の姿。
しかし、少女は笑っていた。
白く細い首をへし折られたまま、あの日と同じ笑顔でこちらを見つめていたのだ。
――有り得ない。
――この世のものではない。
なぜ、なぜ俺の前に現れた。
初恋の少女の姿で、俺の前に現れた!
舗装された坂道を、転がるように駆け下りる。
それはまるで、あの頃と同じ鬼ごっこ。
振り返ることすらできない、鬼ごっこだった。
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