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「よお! 久しぶりだな、大石!」
「わー、変わってないー!」
玄関を開ければ、懐かしい友人二人が出迎えてくる。
荒井孝治に吉川佐和子。
いや、今は荒井佐和子になっているのだ。
見知った友人が結婚し、一つの家族になっているという事実は、実に不可思議なことのようにも思えた。
「ほらほら、大丈夫よー。怖くない怖くないー」
佐和子が、胸に抱いた赤ん坊に優しく言葉をかける。
大石という異質な存在の登場に不安を感じた赤ん坊は、叫ぶような声で大泣きをしていた。
「おう、とりあえず入れよ。色々話そうぜ」
そう言って、荒井は一人で家の奥へと戻っていってしまう。
「あ、コラ! ちゃんと案内しなきゃだめじゃない!」
「廊下真っ直ぐ進めばいいんだから大丈夫だろーがよ!」
ガサツな荒井を佐和子がどなりつける。
その様子に二人の学生時代を思い出し、大石は思わず笑みを浮かべるのだった。
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