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「ごめんね、散らかってるけど適当に座って」
荒井の後を付いてたどり着いた部屋は、真新しいフローリングが輝く六畳くらいの部屋だった。
佐和子が子供のおもちゃなどを慌てて片付けながら、手際良く座布団を用意する。
荒井は早速、戸棚から卒業アルバムなどを引っ張り出していた。
「いやー、大石。ほんとお前変わらないな。学生時代そのままじゃんか」
赤子を抱きかかえたまませわしなく準備をする佐和子を横目に、荒井がアルバムを開いてはしゃぎ始める。
妻が向ける冷たい視線には、どうやら気付いていないようだった。
「本当だよなー。あ、それと、今日は大石から重大な話があるんだぜ?」
アルバムと大石を見比べてニヤニヤ笑う荒井に、木村がもったい付けたように言う。
「え、なになに。どうしたのよ」
興味を示して身を乗り出してくる荒井に、木村は笑いながら大石の初恋の話を聞かせた。
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