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「じゃあ、頑張ってね!」
「う、うん!」
やがて、手洗いを済ませて帰ってきた二人は、何かを示し合わせているかのようにうなずき合う。
励ますような佐和子に、決意したような詩織。
その意味は、当の二人以外にはわからなかった。
「あずみー、ちゃんとパパに見てもらってた?」
元いた場所に座りながら、佐和子が荒井に抱き抱えられていた赤子を優しく受け取る。
父親と母親を交互に眺めてキャッキャッと笑う赤ん坊は、誰が見ても可愛らしかった。
「あずみちゃん……女の子かな?」
「そうよ。明日美って書いてあずみ。可愛いでしょ?」
そう言いながら、明日美の頬をつついて笑う佐和子。
学生時代には見られなかった、母の顔をした友人の姿がそこにはあった。
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