自分の能力

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「嫌なのか?」 海浬が聞いた。すると謎少女は、首を横にふり、顔を赤らめ上目遣いで海浬を見た。海浬はそんな少女の様子を見て、一瞬ドキッとした。 「じっじゃあ、愛だ」 「愛?」 少女が聞き返してくる。 「そう、愛」 「ひねりがない名前ですね」 俺は、沈黙した……。そして、怒りそうになった。 「そ、そうかい」 俺の言葉を無視して、ですが、と少女は続けた。 「とても、深い名前です。大切にします」 少女……、愛は胸に手を当てて、心にしまうジェスチャーをした。いや……本当にしまったのかもしれない。 「んで、何しにきたんだ?」 話題を変えるように、質問した。 「私は、あなたの能力を目覚めさせるために来ました」 真っ直ぐな真剣な瞳がこちらを見た。 「能力を目覚めさせる?どうやって」 愛は俺に近づきすいませんと言って、俺の胸に手を当てた。刹那。俺は、真っ暗な世界いた。あたりは、黒。上も下も右も左も黒の世界。目の前に、スッと愛が現れた。 「では、私と契約して下さい」 契約?なんじゃそれ。 「契約って何するんだよ?」 彼女は、どっからか、紙とペンをだした。 「これに必要事項を記入してください」 「…………。現実的だな……」 「冗談です」 しかし、真顔で言うので笑えない。 「準備は良いですか?」 愛は両手を前につきだした。 「な、なんの?」 俺の言葉は届かず、両手をパチンと合わした。 眼をあけると、女の子が、俺の顔を除いていた。この顔は昔会った事がある。名前は確か……、覚えださせない。ここは、昔の記憶か?女の子は走って去ってしまう。その直後、とてつもない重量にひかれた。立てなかった。潰されるかと思うくらい重い。苦しさで記憶が微妙だが、頭に流れた。この感覚は、十年前に起こった、無重力発現実験の時の反動で、実験所から半径2キロの重力が、何倍にも膨れあがったのだ。確認されている中でこの事件の生還者は一人、つまり俺だけ……。そして、いつの間にか、重力は無くなって、また意識がなくなった。 眼を開けると、先ほどの少女……いや、愛だ。愛が俺の顔をのぞきこんでいた。 「痛ってぇぇ……」 起き上がりながら、おれは頭を押さえた。 「貴方の夢を見させてもらいました。やはり、あの時の映像でした」 愛が全てを知ってる風に答えた。
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