第二章

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高校を卒業した私は進学はせず、小さな会社に事務員として就職した。保育士になりたかったため、本当は短大に進学したかったが、保育士の夢より早く一人立ちして家を出ていきたい気持ちが勝り、夢を諦めた。 何より「金が欲しい」が口癖の父がいる限り、私の学費をこれ以上出してもらうことは難しいだろう。 普段は口数の少ない父だがお酒を飲むと酔った勢いで喋り出す。そのほとんどが「金が欲しい」「金儲けがしたい」といったお金に関することだった。 いつも遅くまで働いている父。残業手当もなく、きっと心が悲鳴をあげているのだろう。 母はそんな父に答えることはない。
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