第二章

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就職して2ヶ月ほどが過ぎた。仕事にも慣れ、帰りの満員電車以外はこれといった苦痛もなく、淡々とした日々を送っていた。 最寄り駅から歩いて帰っているとおじいさんが犬を散歩させていた。 「リッキー?」 私が声をかけるとパッと犬が振り返り尻尾を振りながらのそのそと寄ってきた。釣られておじいさんものそのそと私の前までくる。 「なっちゃん、久しぶりじゃねぇ。元気かぃ?仕事はどぅだい?」 「お久しぶりです。仕事は大分慣れましたよ。」 一通り挨拶を交わしてから立ち上がる。 家が同じ方向なので自然と歩きながらの世間話になった。 「リッキーがなつくのは相変わらずなっちゃんにだけじゃよ。他の人には触れさせない所か吠えまくりじゃ。」 「リッキーが小さい頃から仲良しだからかなぁ。私には尻尾まで振ってくれるのにね!」 「家の前を人が通るだけでうるそぉてかなわんわ。」 「いい番犬じゃんねー、リッキー。」 そんな会話をしていたらあっという間に家に着いた。私はおじいさんとリッキーに軽く別れを言って家に入った。
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