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他に残っていたクラスメイトも、彼の視線に気付くと1人、また1人と居心地悪そうに出ていってしまう。
廊下にも、窓の外にも、昼休みの学校に特有の雰囲気にあふれているのに。
この2人きりになってしまった教室の中だけにはピリピリとした緊張感が高まっていく。
ただ、それを感じ取っているのは私1人だけなんだろうけど。
「………何やってんだよ。」
うなるように言った彼の言葉に、私の身体はビクリと反応した。
「ああ?
お前はなにやってんだよ?」
ずる、ぺたん、と靴を引きずるように歩いてくる彼の声に。
私はまたビクリと身体を硬くする。
けれど、そうやって硬直するだけの私の反応は彼を不快にしただけだった。
「なにやってんだって聞いてんだよっ!」
怒号と一緒に彼の手は私の机の上にあるものをなぎ落とし、耳障りな音をBGMにして床の上に奇妙なオブジェのように広がった。
「ご………めんな………さ………痛っ!」
ギュッと目を閉じ、俯いて謝罪の言葉を唱える私の髪が乱暴に引かれる。
「うだってんじゃねえっての。
ああ?
俺にわざわざ手間かけさせてんじゃねえよ。
お前、自分の立場判ってんのか?」
冷たく言い放ち、私の髪を掴む彼の手に引かれて私は椅子から身体を持ち上げる。
「痛いか?
ンナ筈ねえよな?」
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