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入学して新しい環境に早く馴染もうとしていて、彼女を構わなかったのが原因らしい。
そこから直に浮気へと繋がるとは。だから女って面倒なんだ。
敦は高一のわりに背も高く、ガタイもいい。
ついでに顔もいいからきっと女には困らないだろうとは思うんだけど。
敦は自覚があるのかないのか、男子校イコール彼女できにくいと思い込んでいるとこがあるから、さっきから愚痴が止まらない、と。
「もうこうなったら彼女じゃなくて、彼氏を探すか。」
「おい、ちょっと落ちつけよ。」
思考を変な方向に飛ばし始めた敦に苦笑いして肩を叩いた。
そんな俺に敦はいたずらな笑みを見せ、肩を組んでくる。
「俺、朔みたいな美人系だったらイケると思うんだよな。」
「俺で試すな。他当たれ。」
敦より頭一つ分は違う俺の顔を、無駄にキメた顔で覗き込んでくる敦の頭を容赦なく叩いた。
「いでっ!」情けない声を出した敦は頭を摩り、拗ねた顔。
そんな表情に絆される俺ではないけれど。だって俺の心は理人にしか…。
自分の考えに眉間に皺が寄る。
距離が離れても、心はまだ理人に囚われたままなんだと、自分で確認してしまったようで。
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