163人が本棚に入れています
本棚に追加
ダラダラと用意をして、家を出る。
もう理人を待つこともない。
以前の待ち合わせ場所を素通りする時にいつも感じるこの痛みも、消えていくのだろうか?
学校に着いて授業を受けて、休み時間には敦にチョッカイかけられながら、時間が過ぎる。
今日は一度も理人を見なかった。
あぁまただとゲンナリしていると、隣のクラスの人から呼び出しを受けた。
誰だろうか?顔くらいは見たことあるけれど、きっと話したことはない。多分。
そんな人に呼び出され、連れられたのは中庭だった。
ベンチに腰かけた相手にどうしたらいいのかと戸惑っていると、隣をポンポンと叩いた彼。
座れということだろうか?遠慮がちに座れば、ニィっと笑った顔は敦と同じくらいカッコいい。
まぁモテそうってこと。
悔しいことに、俺の中での一番は理人だけど。
これは理人への恋心を忘れられない俺の唯一の妥協。
事実、理人はカッコいいし。スポーツマン系の敦とは違って、理人は優等生風だけど。
隣に座る彼もそういえば優等生風だな、と横顔を盗み見た。
理人と同じ黒髪に、あまり着崩してない制服。
あ、でも理人はメガネしてない。理人は優しそうだけど、この人はキリっとした横顔。
.
最初のコメントを投稿しよう!